AN/SPY-3とは、レイセオン社が開発したフェーズドアレイレーダー。艦載用の多機能レーダーとして用いられている。
概要
アメリカ海軍は、将来水上戦闘艦(DD(X); 後のズムウォルト級)の建造にあたり、広域捜索に適した長波長と近距離精密捕捉に適した短波長の2種類の周波数で動作するレーダー(Dual Band Radar, DBR)を開発して搭載することを構想した。このうち、後者に相当する多機能レーダー(Multi-Function Radar, MFR)として開発されたのが本システムである。
使用周波数はXバンドで、低高度目標や潜望鏡の探知対処のほか、精密な目標追尾・識別や艦対空ミサイルに対するセミアクティブ・レーダー・ホーミング誘導電波の照射、更には指令誘導リンクの送受信も行うことができる。アンテナは略矩形状で縦2.7メートル×横2.1メートル大、アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)方式で、1面あたり約120度の方位角をカバーできることから、3面を設置することで自艦を中心とする半球空間内の目標に対処できる。ズムウォルト級ではDBRとしての搭載が断念され、本レーダーが主レーダーを担うことになったことから、限定的な広域捜索機能を付与するためのソフトウェア改修が行われており、AN/SPY-1を凌駕する広域捜索能力を実現したとされる。
搭載艦
- ズムウォルト級ミサイル駆逐艦
- ジェラルド・R・フォード級航空母艦
脚注
注釈
出典
参考文献
- 大塚好古「1番艦進水へ! DDG-1000級の超絶技術 (特集 近未来の米水上艦隊)」『世界の艦船』第788号、海人社、82-85頁、2013年12月。 NAID 40019837765。
- 多田智彦「現代の艦載兵器」『世界の艦船』第986号、海人社、2022年12月。CRID 1520012777807199616。
- 多田智彦「SPYファミリーの話」『世界の艦船』第995号、海人社、108-111頁、2023年6月。CRID 1520577840223086720。
関連項目
- APAR - タレス・ネーデルラントが開発したXバンド・AESA方式の多機能レーダー
- OPY-2 - 日本で開発されたXバンド・AESA方式の多機能レーダー
外部リンク
- Raytheon Company: Radar Capabilities - Sea




