クリフォード男爵(英語: Baron Clifford)は、イギリスの男爵位。イングランド王国とスコットランド王国の合同前にイングランドで創設されたイングランド貴族である。

1628年2月17日にヘンリー・クリフォードが貴族院へ召集されたことに始まる。これは父親の第4代カンバーランド伯爵フランシス・クリフォードが従属称号(英語: subsidiary title)として保持していたドゥ・クリフォード男爵の爵位によって繰上勅書で召集されたものだったが、実際は第4代カンバーランド伯爵はドゥ・クリフォード男爵を保持していなかったために「クリフォード男爵位が新しく創設された」とされたものである。

第5代カンバーランド伯爵兼初代クリフォード男爵は1643年に死去した。彼には娘しかいなかったためカンバーランド伯爵は断絶したが、議会召集令状(英語: writ of summons)によって創設された爵位であるクリフォード男爵は女子・女系での継承が可能であり、一人娘のエリザベスが相続した。第2代クリフォード女男爵エリザベスが結婚した初代バーリントン伯爵リチャード・ボイルは初代コーク伯爵リチャード・ボイルの息子で、1643年にコーク伯爵を相続、1644年にレインズボロのクリフォード男爵に叙爵、1664年にバーリントン伯爵に陞叙された。

以後クリフォード男爵位は代々のバーリントン伯爵に従属称号として継承された。1753年に第3代バーリントン伯爵リチャード・ボイルが男子なく死去したためバーリントン伯爵は断絶したが、コーク伯爵位は初代バーリントン伯爵の弟の曾孫である第5代オーラリー伯爵ジョン・ボイルによって、クリフォード男爵位は一人生き残っていた最後の娘でハーティントン侯爵ウィリアム・キャヴェンディッシュ(後の第4代デヴォンシャー公爵)夫人となっていたシャーロットによって相続された。

これによってクリフォード男爵位はデヴォンシャー公爵家に渡ったが、1858年に第6代デヴォンシャー公爵ウィリアム・キャヴェンディッシュが未婚のまま死去すると、第5代デヴォンシャー公爵ウィリアム・キャヴェンディッシュの二人の娘(第6代カーライル伯爵ジョージ・ハワード夫人ジョージアナと初代グランヴィル伯爵グランヴィル・ルーソン=ゴア夫人ハリエット)が女子共同相続人の abeyance となった。以後2016年現在まで二人の子孫はいずれも絶えていないため、クリフォード男爵位は保持者不在状態が続いている。

クリフォード男爵 (1628年)

  • 初代男爵ヘンリー・クリフォード(1591年 - 1643年)
    • 1641年、カンバーランド伯爵を相続。
    • 1643年、カンバーランド伯爵断絶。
  • 第2代女男爵エリザベス・ボイル(1613年 - 1691年)
  • 第3代男爵・第3代ダンガーヴァン子爵チャールズ・ボイル(1639年 - 1694年)
  • 第4代男爵・第2代バーリントン伯爵・第3代コーク伯爵チャールズ・ボイル(1660年 - 1704年)
  • 第5代男爵・第3代バーリントン伯爵・第4代コーク伯爵リチャード・ボイル(1694年 - 1753年)
    • 1753年、バーリントン伯爵断絶。コーク伯爵位は縁戚の第5代オーラリー伯爵ジョン・ボイルに継承された。
  • 第6代女男爵シャーロット・キャヴェンディッシュ(1731年 - 1754年)
  • 第7代男爵・第5代デヴォンシャー公爵ウィリアム・キャヴェンディッシュ(1748年 - 1811年)
  • 第8代男爵・第6代デヴォンシャー公爵ウィリアム・スペンサー・キャヴェンディッシュ (1790年 - 1858年)
    • 1858年、クリフォード男爵は保持者不在(abeyance)となる。

系譜図

註釈

脚注

関連項目

  • カンバーランド伯爵
  • コーク伯爵 - バーリントン伯爵
  • デヴォンシャー公爵
  • 錯誤により創設された男爵

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